大豆

大豆大研究!大豆のルーツは?大豆の栄養成分は?大豆加工食品と大豆の持つパワーを紹介!

日本が世界有数の長寿国となった理由の一つに、大豆があると言われています。ほかの食材になじみやすいシンプルな味で、加工食品としてのバリエーションも豊富です。大豆のパワーの秘密である栄養素と、大豆加工食品について紹介します。

大豆のルーツは?

大豆は、弥生時代に中国から伝わったという説と、縄文時代に栽培されていたツルマメがルーツ、という説があります。鎌倉時代、僧侶たちは、肉の代わりに大豆加工品からタンパク質を摂取しており、大豆の栽培は、仏教の布教といっしょに全国へ広まったと言われています。おせちの黒豆や節分の豆まきなど、様々な行事でもよく見られることからも、古くから日本の食文化に根付いていることがわかります。

大豆には多くの栄養素が含まれています

大豆は「畑の肉」と言われるほど、タンパク質が豊富なのが有名ですが、それ以外にも多くの栄養素が含まれています。期待される効果と合わせて紹介します。

◆質の高いタンパク質

コレステロールを含まず、必須アミノ酸がバランスよく含まれているため、血中コレステロールの低下、肥満改善の効果が期待できます。

◆生活習慣病予防

ポリフェノールの一種で、抗酸化作用の強いイソフラボン。界面活性剤のような働きで、血管内のコレステロールを溶けやすくし、老廃物を流れやすくするレシチン。ビフィズス菌を助けて、腸内環境を改善するオリゴ糖など、健康を守ると言われる栄養素も多く含まれています。

◆がん予防

大豆は、アメリカ国立がん研究所による「がん対策プロジェクト 予防関連プロジェクト」で、がん予防効果や、死亡リスクを下げる効果のある「デザイナーフーズ」として発表されました。

◆その他

ミネラル(カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅)、ビタミン(B1、E)、葉酸、脂質、炭水化物、食物繊維といった、豊富な種類の栄養素を含んでいます。

一日にどれくらい食べるのが健康的?食べすぎはよくないの?

2000年に、厚生労働省で発表された「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」によると、豆類の摂取目標は、1日100g(大豆100gは約300粒)とあります。目安としては、木綿豆腐1丁で90g、豆乳200mlで106g、納豆1パック50gです。毎日の食事でいろいろな形で大豆を摂取しているとは言え、100g摂取するためには「豆腐1/2丁+納豆1パック」など、計画的に献立に取り入れる必要があります。

大豆に含まれる不溶性食物繊維は、摂取しすぎると、腹痛を起こす、便秘が悪化する、栄養素の吸収効率が下がるといった影響があります。また、大豆イソフラボンの過剰摂取によって、女性ホルモンのバランスが崩れて、生理不順や、ニキビ・肌荒れを引き起こす場合があります。

大豆加工食品を紹介します。

大豆加工食品と聞いたときに、思い浮かぶ食品がたくさんあると思います。加工方法によって、味や食感だけでなく、栄養価や吸収率も変化していることはご存知でしょうか。製造過程ごとに、大豆加工食品のルーツや、栄養素の変化について紹介します。

そのまま食べる

大豆は、発芽させて収穫するまでの過程でも、おいしく食べられます。

◆もやし

大豆が芽を出すと、もやしになります。平安時代は薬として大切にされていましたが、栽培が始まった1850年以降、野菜として広く食べられるようになったそうです。
発芽によって、大豆にはないビタミンCが生成され、食物繊維が吸収されやすい形に変化するほか、イソフラボン、サポニン、カルシウム、鉄分、ビタミンKが多く含まれています。
ビタミンが豊富で、栄養素がふんだんに含まれているため、南極の昭和基地でも栽培され、宇宙食としての利用も検討されているそうです。

◆枝豆

もやしが成長して、緑色のうちに収穫すると枝豆となります。奈良時代から食べられ、国内に広まったのは1700年代と言われています。
栄養区分は野菜に分類されます。タンパク質、ビタミン、ミネラルが豊富なので、疲労回復や肝機能アップの効果が期待できます。ビールのお供や、子供のお弁当によく利用されますが、栄養の観点から考えてもピッタリです。

煎る

煎る場合は、水を使わずに、皮つきでまるごと利用できるので、栄養価を損なうことがありません。

◆煎り大豆

最も古くからの食べ方です。節分の豆まきの豆にも使われます。

(煎り大豆の加工食品)

◆きな粉

粉状にした煎り大豆を、ふるいにかけてサラサラにすると、きな粉になります。粉状のため、消化吸収力がアップします。まるごと加工しているので、栄養素に変化はありません。

煮たり蒸したりして柔らかくする

水分と熱が加わるので、生に比べてオリゴ糖やミネラルが失われてしまいます。

◆水煮

煎り大豆と同じく、古くから使われています。調理の下ごしらえの状態です。

◆煮豆

大豆を煮込んだものです。タンパク質の吸収率が9割以上に上昇します。味付けによっては、塩分や糖質も大幅に上がるので、注意が必要です。

(水煮の加工食品)

◆納豆

大豆の水煮に納豆菌をつけて、発酵させると納豆ができます。室町時代から食べられていると言われています。酵素の働きでタンパク質や炭水化物を分解するので、消化効率が上がるほか、血栓予防効果が期待できます。粒の大きさやひきわりなど、納豆の形状によっても発酵過程に差が出るので、栄養価が変化します。粒納豆に比べて、ひきわり納豆は皮を取り除くので、食物繊維やミネラルが減少しますが、表面積が増えるので納豆菌が付きやすく、ビタミンの含有量は増加します。

◆味噌

大豆の水煮に、塩と米や麦を合わせたあと、麴菌をつけて発酵すると味噌ができます。味噌は、奈良時代に仏教と一緒に中国から伝わり、室町時代に広まったと言われています。当初はそのまま食べられており、調味料として使われるようになったのは、江戸時代頃のようです。地域ごとの気候や風土に合わせて、各地特有の味噌へ発展しました。味噌に加工すると、タンパク質やビタミンの消化吸収率がアップします。

◆丸大豆醤油

大豆の水煮に、細かくした煎り小麦を合わせて、麹菌で発酵するともろみができます。もろみを更に発酵させて絞ったものが醤油です。酒造りと同時に製法も発展し、現在の製法は江戸時代から受け継がれています。元々は、味噌の製造過程で上澄みとしてできた、たまり醤油が主流とされていました。

水に浸してすりつぶす

水に一晩浸してから、すりつぶして液状にしてから加工する方法です。

◆豆乳

液状にした大豆を加熱してこすと豆乳ができます。水分のみをこすので、食物繊維は減少しますが、タンパク質は残存します。牛乳の代わりに使用でき、牛乳に比べて低脂質、低糖質、低カロリーです。マヨネーズ、チーズ、生クリームへの加工も可能です。

◆おから

豆乳をしぼった後の固形部分です。江戸時代に豆腐と一緒に広まったと言われています。食物繊維、タンパク質、カリウムが大豆よりも凝縮されています。

(豆乳の加工食品)

◆ゆば

豆乳を加熱した時にできる表面の被膜をやさしく集めたものがゆばです。中国から仏教と一緒に伝わったと言われています。ゆばは大豆のタンパク質が熱凝固したものなので、豆乳よりもタンパク質、カルシウム、マグネシウムが増加しています。

◆豆腐

豆乳ににがり(塩化マグネシウム)を加えて固めたものです。遣唐使が伝えたものが室町時代に全国に広まりはじめ、江戸時代になってから庶民にも食べられるようになったと言われています。タンパク質の消化吸収率が約95%と非常に高くなっています。

(豆腐の加工食品)

◆油揚げ

木綿豆腐を薄切りにして水分を抜いた後、油で揚げたものです。室町時代に僧侶が肉の代わりに食べたのが始まりと言われています。揚げ物なので脂質は増えますが、タンパク質やカルシウムが豊富です。油揚げ用の豆腐は豆乳の割合を増やして堅めに作ることで、ふっくらとした厚みのある油揚げに仕上がります。

◆厚揚げ

木綿豆腐を水切りして、油で揚げたものです。油揚げと同様に室町時代に僧侶が食べたことがルーツです。

◆がんもどき

豆腐をつぶして、野菜を混ぜて油で揚げたものです。江戸時代に精進料理として考案され、で肉の代用品とされていました。

◆高野豆腐

豆腐をいったん凍らせたあと解凍して脱水したものです。鎌倉時代、高野山の僧侶が、冬の寒さで偶然豆腐が凍ってしまったものを食べてみたらおいしかったのが始まりと言われています。豆腐の栄養素が凝縮され、木綿豆腐と比べてカルシウムは6.5倍、鉄分は5倍にアップします。

油を搾る

大豆から油を搾る方法は、熱を加えずに押しつぶしたり、すりつぶしてから圧力する低温圧搾法と砕いた大豆に溶剤をかける溶媒抽出法があります。

◆大豆油

現代では、効率よく搾ることのできる溶媒抽出法が主流です。色やにおいが少ないため、サラダ油やてんぷら油として利用されています。

◆脱脂大豆

大豆油を搾った残りの固形部分です。タンパク質が残存しているので栄養価が高く、体内で効率よく分解吸収されます。

(脱脂大豆の加工食品)

◆大豆ミート

肉のような見た目と食感を目指して作られており、鶏肉に似た味わいです。低カロリー、低脂質、高タンパク、食物繊維豊富と非常に優れた栄養価を持っています。カツやチンジャオロース、ハンバーグなど幅広いメニューに調理できます。

◆脱脂加工大豆醤油

丸大豆に比べ、脱脂加工大豆はアミノ酸の含有割合が高いので、うまみの強い醤油を作ることができます。

まとめ

大豆や大豆加工食品のルーツと栄養素について解説しました。冷蔵庫のない時代から、保存食やタンパク質の補給源として食卓に上がり続けている大豆。日本人の食文化に欠かせない存在であり、日本人の嗜好に合わせて加工方法も幅広く進化してきました。大豆は、栄養価が高く、病気の予防や美肌効果もえられるヘルシーな食材です。意識して食生活に取り入れて、大豆の持つパワーを受け取りましょう。

唯木 花奈(ゆいき はな)

唯木 花奈(ゆいき はな)

3人兄妹の母として、食べず嫌いや好き嫌いと日々格闘しながら子供たちの食育に取り組んでいます。自分自身、食べることが大好きなので、子どもたちにも食事をかけがえのない楽しい時間にしてほしいと考え、子どもに寄り添った食事を心掛けています。住まい関連、整理収納関連、ローン関連、保険関連等幅広い分野で執筆しています。

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