「畑の肉」といわれるほど、たんぱく質が豊富な大豆。健康や美容、ダイエットを意識した方にも人気の食材です。しかし、どんなに良い食材でも、食べ過ぎには注意が必要です。大豆の栄養を体に効果的に摂り入れるためには、バランスよく食生活に摂り入れることが大切です。そこで本記事では、大豆の効果的な食べ方や、1日の目安摂取量など、栄養面もあわせてくわしくご紹介します。
大豆の期待される栄養素
大豆に含まれる栄養のなかでも、特に注目したいのが、たんぱく質です。たんぱく質は、筋肉組織の構成のもととなる成分で、内臓や髪や爪などの健康維持に欠かせない栄養素にです。大豆に含まれるたんぱく質は、「大豆たんぱく質」と呼ばれ、体内でつくることのできない必須アミノ酸9種を、バランスよく含んでいます。さらに、魚や肉といった動物性たんぱく質と違い、脂質も少なく、コレステロールがゼロという優秀さ。健康のためにも、積極的に摂り入れたい栄養素です。大豆には、大豆たんぱく質の他にも、まだまだ注目の栄養素があります。
腸内環境を整える「大豆オリゴ糖」、老化の原因とされる酸化を抑制する働きが期待される「サポニン」、コレステロールの上昇を抑え、集中力を高める作用がある「大豆レシチン」、体の代謝を促す働きがある「ビタミンB群」、そして、女性ホルモンに似た作用を持ち、女性の健康のサポートをする「大豆イソフラボン」。このように、大豆は、私たちの体を健康にする栄養素がたっぷり含まれた、優れたスーパーフードなのです。
大豆の1日の目安摂取量
大豆は、健康や美容に良い成分がたっぷりと含まれていますが、1日にどの程度摂って良いのか、くわしく知りたいところです。ここでは、厚生労働省や食品安全委員会から発表されている数値をもとにご紹介します。
〇大豆のカロリー
大豆は高たんぱくで低カロリーといわれていますが、100gあたりの栄養成分表を見ると429kcalと高めです。素煎り大豆などをおやつ感覚で食べ過ぎると、高カロリーとなってしまいますので気をつけましょう。食材として摂り入れる場合、大豆を含む豆類の1日の摂取量は100gとされています。大豆(ゆで)は1粒の重さがおよそ0.8gですので、これを大豆に換算すると、およそ125粒が1日の目安摂取量となります。豆腐(1丁/300g)であれば1/3丁、納豆1パック(45g)であれば2パックが、1日の摂取量の目安ですので、覚えておくと便利でしょう。
〇「大豆イソフラボン(アグリコン)」の摂り過ぎは危険?
大豆に含まれる大豆イソフラボンは、体内で吸収されると「アグリコン」という成分に変化します。食品安全委員会によると、この「アグリコン」の1日の目安摂取量を75mgと示しています。大豆100gのアグリコンの平均含有量は、およそ140mgですが、私たちが1日に大豆100gを食べるということはほとんどありません。例えば、納豆1パックがおよそ45gですので、3パック食べると達する計算になります。しかし、食品安全委員会では、この数値を超えたからといって、直ちに健康被害に結びつくものではなく、逆に、大豆を積極的に食べるようにと推奨しています。
このアグリコンの摂取量に関しては、普段の食事に加えて、サプリメントとしてイソフラボンの成分を摂取した場合について検討されたもので、日常に食材から摂取する場合を対象としたものではありません。日本人は、そもそも、大豆イソフラボン(アグリコン)が不足しているといわれています。大豆は体を健康にするといわれる良質な植物性たんぱく源ですので、そのあたりは、誤解のないようにしましょう。
大豆を摂るメリット・デメリット
大豆が私たちの体にもたらす効果について、どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。それぞれくわしくご紹介します。
〇メリット
大豆には、女性の美容と健康に役立つ効果がたっぷり含まれています。特に、大豆イソフラボンがもたらすとされる効果は無敵です。大豆イソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンに似た構造があり、年々減少する女性ホルモンの働きをサポートします。肌のシミやシワといった肌トラブルの改善や、骨粗鬆症の予防など、女性特有の更年期トラブルの緩和に役立つといわれています。さらに、大豆に含まれるレシチンやサポニン、ビタミンは、美肌づくりだけでなく、脂肪の代謝を促す働きもありますので、細胞レベルで内側からキレイをサポートしてくれます。大豆は女性の美容と健康に優秀な食材ですので、適量を守って積極的に摂取していきましょう。
〇デメリット
どんな食材でもそうですが、食べ過ぎると腹痛や肥満につながる恐れがあります。大豆には、腸内環境を整える食物繊維や大豆オリゴ糖が豊富です。適量であれば、体内の老廃物を体外へ排出する効果として有用ですが、食べ過ぎると、腹痛や下痢といった症状を引き起こす場合があります。また、大豆はコレステロールゼロではありますが、カロリーはあります。カロリーの過剰摂取は肥満の原因につながりますので、普段の食事以外におやつ感覚で食べる場合は、カロリーに配慮した食べ方がおすすめです。ここで、特に注意していただきたいのは、サプリメントでイソフラボンを摂取している方です。知らず知らずのうちにイソフラボンを摂り過ぎてしまっている場合があります。イソフラボンの摂り過ぎは、女性ホルモンの乱れを招いてしまいますので、注意が必要です。
大豆の効果的な食べ方
最後に、大豆の栄養を効果的に摂取できる美味しい食べ方をご紹介します。大豆の栄養成分を逃すことなく煮出たスープまでいただくレシピですので、ぜひ参考にしてみてください。大豆の栄養パワーを摂り入れて、普段の食生活を豊かにしましょう。
【大豆のもどし方】
大豆は洗って水に漬け、一晩置いてもどしておきましょう。
〇野菜と豆のスープ
お好きな根菜と水でもどした大豆をコンソメで煮るだけで、野菜のエキスと大豆の栄養を逃がさずそのままいただけます。
〇大豆のトマト煮
画像はイメージです。
- 深鍋にオリーブオイルでにんにくを炒め、玉ねぎを加える
- 玉ねぎがしんなりしたら、トマトの水煮と、水でもどした大豆を加える
- 水を注ぎ、コンソメを加え、1時間ほど弱火で煮る
- 塩コショウで味を調えたら出来上がり
〇大豆とレンコンの肉味噌そぼろ
画像はイメージです。
- フライパンで、豚ひき肉と薄めのいちょう切りにしたレンコンを加え炒める
- 火が通ったら、大豆を入れさっと炒め、余分な脂をペーパーで吸い取る
- 味噌、酒、砂糖(各大さじ2)を混ぜ合わせたものを②に加え、汁気がなくなるまで炒めたら出来上がり