豆類は、五穀のひとつとして古くから栽培され、日本では、米と同様に重要な農作物となっています。中でも大豆は、食肉の習慣が無かった日本人の、貴重なタンパク質源として、様々な食品や調味料に加工して利用されてきました。
タンパク質とは?
そもそもタンパク質とは、一体どういった栄養素を指すのでしょうか。タンパク質は、人の体重の約16%を占める構成成分です。筋肉や内臓、血液、毛髪だけでなく、美肌に関係する「コラーゲン」や、健康診断で目にする「ガンマGTP」「ヘモグロビン」といった酵素やホルモンなども、実はタンパク質からできています。
最近の研究では、タンパク質の不足が、慢性疲労や冷え性といった体の不調の原因となっている可能性もあると言われており、体の機能全般に関わっている重要な栄養素であることがわかります。
タンパク質の種類とアミノ酸スコア
そのタンパク質ですが、大豆に含まれるタンパク質と、その他の食品に含まれるタンパク質には、一体どのような違いがあるのでしょうか。タンパク質は、「動物性タンパク質」と「植物性タンパク質」の2種類に分けることができます。まず、動物性タンパク質ですが、その名の通り、肉類や魚介類、卵類、乳類といった、動物由来の食品に含まれるものです。肉類と魚介類、それぞれの食品で100gあたりのタンパク質含有量が多いものを挙げると、
肉類:鶏肉=ささみ・むね肉、豚肉=肩肉・ひき肉、牛肉=ヒレ肉・もも肉
魚類:マグロ、鮭、いわしやさんま、さばといったいわゆる青背の魚
貝類:帆立や牡蠣
その他では、卵類や乳類に多く含まれています。動物性タンパク質は体内での吸収速度が早いため、体内ですばやくエネルギーとして利用されやすいといった特徴がありますが、その反面、脂質を多く含んでいるため、カロリーが高く、タンパク質の摂取量に比例して脂質も多くなってしまいがちです。
そして、もう一方の植物性タンパク質ですが、こちらは大豆をはじめとした豆類、野菜類、果実類などに含まれています。
動物性タンパク質に比べると、吸収率は良いのですが消化に時間がかかるため、摂って直ぐに効果を認めることはできません。しかし、肉類や魚介類に比べカロリーは低く、脂質の含有量が少ないという特徴があります。消化に時間がかかる点も、ダイエットをしている時などは、「腹持ちが良い」とポジティブに捉えることも可能です。
アミノ酸について
アミノ酸は、人間の体の構成に関わるタンパク質の最小単位で、20種類存在していますが、タンパク質の栄養価は、タンパク質を構成するアミノ酸の種類と量によって決まります。アミノ酸は、体内で合成できる非必須アミノ酸と、体内で合成することができない必須アミノ酸がありますが、中でも必須アミノ酸に関して、人間にとって理想的なアミノ酸組成を「アミノ酸スコア」と呼び、理想的な数値を100と表します。アミノ酸スコアが100の食品は、先に挙げた肉類や魚介類、卵類、乳類といった動物性食品が主たるものですが、大豆は植物性食品の中でも数少ない、アミノ酸スコア100の食品です。カロリーが低く低脂肪、コレステロールに関しては含有量0という大豆。更に大豆は、人間にとって理想的な割合で必須アミノ酸を含んでいる、という優れた食品なのです。
大豆は、もちろん乾燥大豆のまま食べなくても大丈夫です。大豆の未成熟な豆は、私たちが枝豆と呼んでいるものですし、乾燥大豆を戻して茹でたり蒸したり絞ったり、という工程を経て、豆腐や納豆、油揚げ、厚揚げ、湯葉、きなこ、もやしのほか、味噌や醤油といった調味料にも加工されています。
タンパク質の摂取目標量
それでは、実際にタンパク質はどのくらい摂ることが望ましいのかというと、厚生労働省が発表している日本人の食事摂取基準から抜粋すると、1日あたりの摂取推奨量は、18〜64歳の男性は65g、女性は50gです。健康的な生活を維持するためには、体重1kgあたり1gのタンパク質を摂るのが望ましい、といった説もあります。
まず、乾燥の国産大豆100gにタンパク質は33.8g含まれています。その乾燥大豆を用いたものを見て見ましょう。製品やメーカーによって容量が異なるので、一概には言えませんが、手元にあった絹ごし豆腐(ツインパックになっている1パック分150g)はタンパク質7.1g、カロリー83kcal、納豆(3個パックの1パック分40g)は、タンパク質6.6g、カロリー80kcalでした。
カロリーを抑えながら、効率良くタンパク質を摂るには、消化吸収率の高い大豆製品を有効に活用すると良い、ということがわかりますね。
最後に
ここまで、大豆タンパク質について見てきました。良質なタンパク質源、などと聞いたことはあっても、他のタンパク質との違いなどまでは分からなかったかもしれません。大豆には上記の他にも、カルシウムや食物繊維、鉄、イソフラボンといった、健康に有用な栄養素も豊富に含まれていることがわかっています。食事は毎日のことですが、私たちの体は食べたものでできています。日常の食事に、少し意識して大豆製品を取り入れる工夫をしていけるとよいですね。